終活コラム7

生前整理

 何故、「もの」が増えて、それを捨てられないのでしょうか。

 その理由は2つのタイプがあります。

 過去に執着したために捨てられないタイプと、未来に不安を抱くために捨てられないタイプです。

 

何故、終活で整理が必要?

 

過去執着

 いまはもう使っていない過去の遺物を取っておくタイプです。遺物とは、写真や手紙(年賀状を含む)です。

 かつての優雅で幸せな時代だった時へのこだわりです。

 確かに、写真は過去を思い出させることができます。しかし、大抵の方は、フエルアルバム等で何冊も持っていて、その置き場に困る状態です。

 年賀状も、いつからの年賀状なのかわからないほどの塊で、今はもう付き合いのない方の年賀状ですらとっておく状態です。それだけ付き合いがあったのだという過去に執着しているのです。

 とはいっても、それらを再び見直すことはないのですが。

 

未来不安型

 もう一つは、未来起きることに対して、それを取っておくタイプです。

 洋服がこれにあたります。つまり、何年も来ていない洋服を、まだ着れるのではないかとしまい込んで、結局、サイズも柄もスタイルも時代にそぐわなくなっているにもかかわらず、しまい込んでいるのです。

 また、お歳暮やお中元、年始の挨拶でもらったタオル等も箪笥の奥にしまい込んで、普段はカビの生えたようなタオルを使っている状態です。

 

サンクコスト(埋没費用)の呪い

 経済学では、「サンクコストの呪い」というものがあり、「今まで頑張ってやってきたのに、今さらここにきて辞めるなんてもったいない!」という合理的な選択ができなくなって、結果的にみると損をするというもので、皆さんもその経験があるのではないでしょうか。

 サンクコスト(埋没費用)とは、すでに取り戻すことが不可能な費用のことです。

 すでに、お金等を出して家の中にある「もの」は、もう取り戻すことは出来ません。

 せっかくお金を出して買ったんだから、壊れるまで使い切ろう。

 せっかくお金を出して買ったんだから、いまサイズが合わない洋服だけど、そのサイズが着れる体になったら着よう。

 せっかくお金を出して買ったんだから、一度も袖を通していないなんてもったいない。

 こういった、最初にかかる費用がサンクコストであるという考え方ができずに、その費用に固執してしまい、結局、「もの」を捨てられず、「もの」が増えてしまうのです。

 人間は、「せっかくお金を出して買ったのに」「せっかくもらったのに」という感情によって、ものを捨てられなくなっているのです。

 

家庭内事故

 事故というものはどこで起こるかご存じですか。

 事故というものは、圧倒的に家庭内で起こるのです。

 

 そして、その中でも、居室が一番発生場所として多いのです。

 台所は、ある程度予想できたと思いますが、その台所よりも居室のほうが発生場所として多いという事実を知っていただきたいのです。

 今回の目的が、ようやく見えてきました。

 家の中に「もの」が多いということは、大きな自宅であっても、「もの」があるために行動が制限されます。その制限された行動により、事故が発生するのです。

 ここで理解してほしいのは、高齢者が自宅で事故にあった時に、他の家族がいらっしゃるかどうかだと思います。

 今の日本では核家族化が進んで、一緒に暮らしている家族が少なくなっています。

 通常、65歳以上の方は、配偶者と住んでいるか、それとも独居(おひとり様)です。おひとり様が家庭内で事故にあったら・・・というのことを考えていただきたいのです。

 そのために、整理が必要だと言っているのです。

 

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