遺言とは、自分が生涯をかけて築き、かつ守ってきた大切な財産を活用してもらうために行う遺言者の意思表示です。
ただ、遺言に法律上の効力を生じせしめるためには、民法に定める方式に従わなければならないのです。
日本における遺言の普及率は10%前後と言われています。
一般に、商品の普及率では、10%未満の初期の段階では購買意欲が低く、普及率が20%を超える頃から急速に普及のはずみがつくと言われています。商品と同じと言えるかどうかはわかりませんが、日本における遺言はまだまだ初期の段階です。
さて、遺言書がなければ相続人全員の遺産分割協議が必要です。
この遺産分割協議がなかなかまとまらず、不動産においては、最後に所有権の登記がされてから50年以上経過しているものが中小都市・中山間地域においては26.6%、大都市地域においても6.6%も存在するとのこと(平成29年6月6日法務省)。
遺産分割で不動産の分け方が決まらなかったとういことですが、遺言を残していれば、このような問題は出なかったでしょう。
遺言を書いておくべき人
次の方は、遺言書を書くべき人です。
①分割できない不動産を持つ人
②生前贈与をしている人
③子供のいない夫婦
④自分が要介護状態の人
⑤前妻の子と後妻の子がいる人
①については先に述べたとおりです。遺言者が決めなければ誰も決められません。特に、日本の一般的な家庭の場合、相続財産はマイホームと僅かばかりの現金という状態です。みんな相続財産が欲しいのですが、現金が少ないとマイホームを共有名義にするしかなく、そのマイホームも永らく売れなくなると、空き家問題になります。
②の生前贈与(住宅資金、結婚資金、事業承継)が原因で兄弟姉妹の間で「もらった」、「もらっていない」でもめています。生前贈与をした場合は、誰に何の目的で、いくら贈与したかを書き記しましょう。せっかく好意で贈与したのに、それが原因で子供が争うのを天国で見たくはないですよね。
③の子供のいない夫婦の法定相続人には兄弟姉妹が入いってきます。夫婦の相手方だけではないのです。しかし、遺言書を書くことで、兄弟姉妹からの遺留分が排除されます。
④のご自分が要介護状態である場合、どれだけ介護したかでもめます。
⑤このパターンは、皆さん自分でよくわかっているようで、弊所へ持ち込まれる相談もこのケースが一番多いでしょう。今の民法では、前妻との子も、後妻との子も対等に扱われます。さらに、後妻の連れ子と養子縁組をしていない場合があり(再婚した時期によりますが、途中で名前が変わるのがかわいそうだということで)、後妻の連れ子に相続権がないという、哀しい相続になることがあります。この場合、養子縁組をすることと、遺言書を書くことが必要でしょう。
遺言事項
遺言事項とは、遺言書に書くと法的効力がでる項目です。具体的に言うと、認知・遺贈・相続分の指定や指定の委託・遺産分割方法の指定や指定の委託・遺産分割の禁止等があり、財産の分け方を中心に身分のこと等を指定したものです。
付言事項
遺言事項でないことを遺言書に書いても、法的効果がないだけで、それを書いてはいけないわけではありません。このような法的意味のない記載を付言事項と呼んでいます。
付言事項は、遺言としての法的効力はありませんが、遺された者へのメッセ―ジとしての意味はあり、その記載内容が相続人等に伝わり、それが相続人等の行動に影響を及ぼせば、事実上の効果をもたらすことになりますので、紛争の予防ができるならば、付言事項を書くことは意味があります。
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