財産を譲りたいのであれば、遺言と思いがちですが、実は思い通りに財産を渡す方法は、生前贈与であったり、死因贈与であったり、遺言があります。その遺言にも遺贈というものがあります。その他にも、最近では家族信託というものがテレビや週刊誌で取り上げられています。
生前贈与・・・生きているうちに財産を渡す
死因贈与・・・贈与者の死亡によって効力を生ずる贈与契約
遺言・・・死亡後に法律上の効果を生じさせる目的で、遺贈、相続分の指定、認知などにつき、一定の方式に従って単独に行う最終意思の表示
遺贈・・・遺言によって、財産を他人に贈与すること
家族信託・・・ 資産を持つ方が、特定の目的に従って、その保有する不動産・預貯金等の資産を信頼できる家族に託し、その管理・処分を任せる仕組み
どれを選ぶかによって、やり方や効果に違いが出ます。
遺言と遺書は違います。
遺書は死後のための書き残した文書で、生活の全般の関するものですが、遺言は財産に関して法的に有効なものになります。
自分が亡くなった後の財産の処分を思い通りに行いたいと思っているなら遺言です。
そう思ったら、あなたの財産がどれほどあるのか調べる必要があります。そしてその財産目録を作成するのです。
例えば、「自分が死んだあと妻の生活が心配だ」と思っても、あなたの財産がどれほどあって、妻の年金がどれほどあって、生活費がどれほど必要かを知る必要があります。また、自宅があなたの名義であれば、妻に遺贈又は贈与して、妻の生活できる場所を提供することを考えるのもいいでしょう。
民法改正で、婚姻期間が20年以上である夫婦間で居住用不動産(居住用建物又はその敷地)の遺贈又は贈与がされた場合については、原則として、遺産分割における配偶者の取り分が増えることになりました。
家族のことを心配なさる方で一番多い心配事は、遺された妻の生活です。
主語が旦那さんと聞こえると思うのですが、まだ日本では、財産のほとんどが旦那さんが持っているからです。年金に関しても、奥様の年金が少ないからです。ですから、ご自分が亡くなると、奥様の生活が心配になります。
それで、遺言を頼みに来る方が言うのは、妻の生活を守りたいと。
そういうことは国の方も理解していて、2020年4月1日施行の民法改正で、配偶者居住権が新設されました。
どういうものかというと、配偶者が相続開始時に被相続人所有の建物に居住していた場合に、配偶者は、遺産分割において配偶者居住権を取得することにより、終身又は一定期間、その建物に無償で居住することが出来るようになりました。
例えばでお話しますと、今までは、
相続人:妻と子
遺産:自宅(2000万円)及び預貯金(3000万円)
だった場合、妻と子の相続分=1:1(妻 2500万円 子 2500万円)となります。
妻は住むところを確保しなければならないので、自宅を優先して取ります。そうすると、
(改正前)
妻:自宅 2000万円
預貯金 500万円
子:預貯金 2500万円
となり、妻は住む場所はあるのですが、少ない年金で生活費が不足してしまいます。
改正によって、配偶者は自宅での居住を継続しながら、その他の財産もできるようになりました。
例でいうと、
(改正後)
妻:配偶者居住権 1000万円
預貯金 1500万円
子:負担付き所有権 1000万円
預貯金 1500万円
と総額は変わりませんが、預貯金の分が増えることになります。
それともう一つ。
今回の相続法の改正で、婚姻期間が20年以上の夫婦間における居住用不動産の遺贈又は贈与がされた場合については、原則として、遺産分割における配偶者の取り分が増えることになります。
今までなら、贈与を行ったとしても、原則として遺産の先渡しを受けたものとして取り扱うため、配偶者が最終的に取得する財産額は、結果的に贈与がなかった場合と同じになります。
(改正前)
妻:自宅 2000万円
預貯金 500万円
子:預貯金 2500万円
改正により、原則として遺産の先渡しを受けたものと取り扱う必要がなくなり、配偶者は、より多くの財産を取得することが出来るのです。
(改正後)
妻:自宅 2000万円
預貯金 3000×1/2=1500万円
子:預貯金 3000×1/2=1500万円
どうでしょうか?配偶者のことを考えた改正ですよね。
それでも、旦那さんは妻に全てを与えたいという人が多いことも事実です。
妻に全ての財産を渡して、妻が亡くなったら、子に渡せばいいんだ、という風潮があり、そういう遺言を書きたいと。遺言者の意思ですから、結構なことですが、問題が1つあります。遺留分※です。
※遺留分: 被相続人(財産を残す人)が遺言書を書いていて、そこに特定の人に財産のすべてを残すと書いていた場合、被相続人の書いていることは尊重しなければなりませんが、他の法定相続人(相続をする権利がある人)にも相続を受ける権利があります。
そこで遺留分です。遺留分とは、法定相続人(兄弟姉妹以外)に認められた最低限の遺産取得分のことで、遺言よりも優先されます。例えば、「すべての財産を○○に相続させる」という遺言があっても、配偶者及びご子息はある割合の遺産をもらう権利を持っています。
法定相続人が遺留分減殺請求をすれば法定相続分の1/2を請求することができるのです(法定相続人が父母だけの場合は1/3)。これが遺留分です。ただし、遺留分は請求しなければ認められません。当然にもらえるものだと思っていても、請求しなければなにも起こりません。
兄弟姉妹以外からの遺留分請求をされると、財産のすべてを妻に渡せなくなってしまうのです。それは理解したうえで、遺言を書かなければなりません。
生前に財産を譲り渡すことを「生前贈与」と言います。
生前贈与は、法律上は贈与契約にあたります。贈与は、財産を譲る人と財産を受ける人との合意によって契約が成立します。もっとも、契約だ何だと言っていますが、そんなこと考えずに、譲りたいものを渡してしまえば、それで贈与はできているのです。口約束でも有効です。口約束だと贈与者は、贈与が終わるまではいつでも撤回することが出来るのです。
注意しなければいけないのは、生前贈与の額が相続人の遺留分を侵害していると、相続人から遺留分の請求をされる恐れがあります。
特定の財産を、確実にしかも自分の目の黒いうちに譲りたいのであれば、生前贈与を活用するのがいいでしょう。
生前贈与にするか、遺言を書いて贈与(遺贈)するかは、状況を判断してきめればいいと思います。
贈与者の死亡によって効力を生じる贈与契約。
生前に贈与者と受贈者の間の契約によって行われる点が、受遺者(遺贈を受ける人)の承諾を要しない一方的意思表示(単独行為)である遺贈と異なるのですが、それ以外は遺贈と変わりはありません。
人が死亡することによって相続が開始され、遺産は相続人が承継されることになりますが、被相続人の意思によって財産・権利の処分等を決めることができるとされています。これが遺言です。
遺言は、民法の定める方式で行わなければならないとされています。
遺言は、遺言者の死亡の時からその効力を生じることとされています。
遺言の種類ですが、下記のとおりです。
1.普通方式の遺言
①自筆証書遺言
②公正証書遺言
③秘密証書遺言
2.特別方式の遺言
①危急時遺言
ⅰ.死亡危急時遺言
ⅱ.船舶遭遇時遺言
②隔地者遺言
ⅰ伝染病隔離時遺言
ⅱ在船時遺言
通常、遺言はおもに相続人に対してですが、相続人以外の人に贈与する場合を遺贈と言います。
お世話になった方に、介護をしてくれた方に、等法定相続人ではない方へ贈与をする場合、遺言書で書くことで、それが可能となります。
自筆証書遺言は、全文の自書が課せられていますが、民法改正で財産目録については自書によらなくてもよくなりました。財産目録をパソコンで作成することや通帳のコピーを添付することが可能となりました。ということは、財産目録の作成は他人に作成してもらったものに、署名押印すればいいことになります。
今まで、年配の方に書いてもらうのが大変だった財産目録を、パソコン作成やコピーでよくなったことは自筆証書にとって飛躍的に楽になりました。
また、2020年7月10日施行で、法務局での自筆証書遺言の保管が可能となりましたので、今後は自筆証書遺言が無くなったり、見つけられなくなるようなことが少なくなり、自筆証書遺言の件数が増えると思われます。
公正証書遺言以外の遺言に関しては、相続開始後、家庭裁判所の検認手続きが必要とされています。(民法1004条1項、2項)。
遺言の執行をするには、遺言書に検認済証明書が付いていることが必要ですので、検認手続きを欠かすことはできません。
しかし、自筆証書遺言で法務局に預かってもらった場合、検認手続きは必要なくなります。
よく比較されるのが 公正証書遺言 と 自筆証書遺言 ですが、公正証書遺言は公正役場の公証人という法律のプロフェッショナル(元裁判官や元検察官等)が作ってくれますので、失礼なことを言うようですが、それを作成するのに弁護士、司法書士、行政書士を間に入れて作る意味はありません。公正証書遺言が高くつくというのは、そいった○○士に払うお金が入っているからです。
公証人手数料としては、遺産総額が5000万円だとすると、29000円くらいで済むでしょう。
他の人たちは遺言をどのタイプの遺言で書いているのか気になります。
正確にわかる資料はないのですが、下図のデータが目安となるでしょう。
とはいえ、遺言の普及率は未だ3%前後であり、日本の社会に浸透しているとはいえません。
さて、今回の自筆証書遺言の改正で、今まで遺言そのものを書くのをためらっていた方も、書くことにためらいがなくなって遺言書を書くのではないかと推測されます。
終活において、遺言を書くことは、遺された相続人への想いですので、自筆証書遺言であれ、公正証書遺言であれ、まずは遺言書を書くことを優先してください。
そして、遺言は固定されるべきではなくて、財産内容が変化した時や、家族内容に変化があった時、自身の体に変化があった時等、遺言の内容も変化するはずです。
自筆証書遺言は、その変化にすぐに対応できます。
まずは遺言を書いて、何か変化があった時は遺言を書き直すことをいたしましょう。
自筆証書遺言を一度書き上げたら、二度目からは簡単にできるはずです。
上記資料を見ると、遺言を書く一番多いきっかけはご自身の体調不良で、病院とかで入院しているときにいろいろ考えて、こうしようということでしょう。
そして、遺言の作成理由は、ご自分が亡くなったときに相続で争ってほしくない、先に遺言を書いてこうしてくれと。
遺言書の作成時期についてですが、40代から増えていますが、やはり60代で一気に人数が多くなっています。
その反面、70代が極度に少なく、これは、その年代が「遺言書?めっそうもない」、「遺言?縁起でもない」という世代だからでしょうか。
遺言を勧められたら、何か自分ではなく自分の財産に目が行っているのではないかと思うのでしょう。
ここからは、一般社団法人家族信託普及協会が2019年7月に行ったアンケート調査での内容です。
現在、相続についての検討・準備を始めているかについては、親世代の93%、子世代の80%がまだであるとの回答でした。
検討していない理由についても、
・親は「財産がない」「特に問題はない」など検討の必要性を感じていないのに対し、
・子の方も同様ではあるが、親の理由になかった「何を検討すればよいのかわからない」「検討する時間が取れない」という回答が14%あり、相続への関心があると窺わせる回答もありました。
次に、今ある資産について、どの程度を相続財産とすべきかについて訊ねたところ、親子とも、「資産は親が老後の生活のために適度に使い、残りを子に相続させる」のがよいとの回答が最も多かった。次いで子供の立場からは、「子への相続はあまり/全く考えなくてよい」という考え方の回答が多くありました。
親は子供たちに対し、均等に配分するのが平等と考えているのに対し、子の方は親への貢献(家業のの承継や介護)を考慮してほしいとの回答が50%にのぼり(親は27%)、とくに介護負担の大きさを心配する声が多く聞かれます。
さて、今まで(今回の民法改正まで)公正証書遺言をお勧めしていました。
理由は、公正証書遺言の確実性でした。
例えば、自宅で火事があったとしても、公正役場で管理されているため、燃えてなくなることはありません。
例えば、自筆証書遺言のように、自分で管理しなくではならないため、どこにしまったかわからなくなることはありません。
例えば、財産目録を書き間違えてしまって内容不十分で遺言書として認められないということもありません。
例えば、相続が終わった後に遺言書が出てきたり、遺品と一緒に遺言書が捨てられてしまったりすることもありません。
ですから、我々は公正証書遺言を勧めていました。
ところが、民法改正(相続法改正)により、遺言の産財目録は通帳のコピーやパソコンでの作成も認められるようになりました。つまり、作成はご自分でなくてもいいのです。
また、2020年7月10日施行 で法務局で公正証書遺言に係る遺言書の保管制度が創設により、自筆証書遺言を作成した方は、法務大臣の指定する法務局に遺言書の保管を申請することが出来ます。つまり、自筆証書遺言を法務局で預かっていただけるようになり、紛失の恐れも、火事で燃えてなくなることもなくなります。
また、 遺言書の紛失や隠匿の防止、遺言書の散財の把握が容易になります。 また、遺言書保管場所に保管されている遺言書については、家庭裁判所の検認が不要となります。
あとは、文書のチェックですが、我々行政書士がチェックした文章は、わざわざ公証人のチェックを受けなくても大丈夫です。
遺言は自筆証書遺言も公正証書遺言もどちらも同じ効果を持ちます。公正証書遺言の方が効果があるわけではありません。
これからは自筆証書遺言です。
自筆証書遺言の方式緩和
自筆証書遺言に、パソコン等で作成した目録を添付したり、銀行通帳のコピーや不動産の登記事項証明書等を目録として添付したりして遺言を作成することができるようになった。
法務局における遺言書の保管等に関する法律
2020年7月10日施行 法務局における自筆証書遺言に係る遺言書の保管制度が創設により、自筆証書遺言を作成した方は、法務大臣の指定する法務局に遺言書の保管を申請することが出来ます。 遺言書の紛失や隠匿の防止、遺言書の散財の把握が容易になります。 また、遺言書保管場所に保管されている遺言書については、家庭裁判所の検認が不要となります。
「全文の自書」は大変
従来の相続法によると、自筆証書遺言を作成するためには「遺言者がその全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない」とされていました。
しかしながら、具体的な相続財産の表示も含めて「遺言全文」の自書を求めるのは、特に高齢者にとってはつらいことといえます。形式不備であれば、遺言の効力が認められなくなるのが通常です。
「私のすべての財産を○○に相続させる」という遺言ではだめなの?
「はい、そういう遺言は間違っていません。」しかし遺産を複数の人間に承継させる場合は、相続財産を特定できるようにしなくてはいけません。それが遺言の財産目録です。
遺言において、この財産目録を漏れなくきっちり書くことがお年寄りには難しかったのです。
でも、2019年1月施行で、この遺言の方式が変わりました。自書によらない財産目録を添付することが出来るようになったのです。
具体的には、①パソコンで目録を作成(ということは自分で作成しなくてもいいということです)②通帳のコピー、法務局の登記事項証明書、を添付してそれに自署、押印することでよくなったのです。
法務局での保管で紛失の恐れなし
今まで私たちが「公正証書遺言」を勧めていたのがこの保管制度にあったのです。
公証役場にて作成する「公正証書遺言」であれば、遺言の原本が公証役場に保管され、なくなることはありません。また、相続開始後に、相続人は被相続人が公正証書で遺言を作成していたかどうかを、検索することが可能です。
その一方で、自筆証書遺言は遺言者自ら保管しなければならず、相続開始後に、相続人が遺言を見つけることができないこともありました。
また、相続開始後に相続人が遺言書を見つけ、偽造・変造することも可能です。
そうしたことで、私たちは公正証書遺言を勧めてきました。
しかし、上記2つの変更により、手間と費用がかかる公正証書遺言より、今後は自筆証書遺言を勧めたいと思っています。
2020年7月10日改正までは、法務局の代わりに 相続と終活の相談室 オフィスなかいえ が遺言書をお預かりいたします。したがって、7月まで待たなくても大丈夫です。7月になったら、同じ内容の遺言書を作成し、法務局に預ければいいのです。
長男優位
相続でもめる原因の一つとして、日本には戦後70年以上も経っているのに長男優位の考え方が残っているということが挙げられます。
それは、長男が後を継ぐ(一緒に住んでお墓を守る)というふうに思われてきたからです。
民法にも祭祀に関する権利の承継という条文があり、「慣習に従って・・・」という表現で書かれており、その慣習に従って、家・土地が当然のように長男のものという認識が代々受け継がれてきたからです。
だから、嫁に行った女性たちはほとんど財産を貰うことが出来ませんでした。
平等社会で育った相続人
ところが、平等社会の中で育ってきた現代人にとっては「長男が後を継ぐのは当たり前」「女性は嫁に行くから遺産はもらえない」といった考え方は受け入れがたく、そんなことをしようものなら、今は仲がよくても親の世代と子の世代の認識の違いから、いざ相続という時に対立することがあるのです。
また、それに加えてその配偶者が絡んでくると、問題はもっと深刻になります。
相続の問題で兄弟姉妹がもめると、仲がいいと自分たちで思っていても、いつの間にか回復のできないような状態になります。
それは、金額の問題ではなく、優劣の問題に変化してきて、だれだれよりは親の面倒を見てきた等、比較の問題でもめるのです。
お金のいる時期
また、一般的には相続の時期と相続を受ける方がお金を必要とする時期が一致していることが多いのも原因の一つです。
一般的には相続は40代~50代という、一番お金を使う時期に巡り合います。家(マンション)を買って、住宅ローンを払いながら、子供を学校に行かせるという涙ぐましい努力をしているわけですから、親が亡くなって悲しい反面、親の財産を当てにするのはしようがないことでしょう。
だから少しでも多くの相続を望むわけです。せめて平等にと。
墓じまいと長男優位
今は核家族化がすすみ、親と一緒に住んでいる子世代はあまり見かけなくなりました。親と住んでいないので、お墓の問題が出てきます。お墓だけのために、実家もなくなっているのに、遠くに墓参りすることが合理的でなくなってきているので、墓じまいが増えてきています。
そうすると、家を継ぐ長男という名目がなくなってきたもです。
だから、親の財産を平等に分けてほしいと望むのは当然だと思います。
親の想い
相続財産は親の財産です。
親にとっては自分の財産がどこに行くのかは大きな問題です。
親に希望があるのであれは、それなりの準備が必要です。
その一つが「遺言書」であり「家族信託」です。
ここでは「遺言書」についてお話させていただきます。
遺言書がなければ、法定相続人が遺産分割協議で決めなければなりません。
法定相続人以外に財産を残したい人がいるなら、遺言書を書かなければその人に財産がいきません。
例えば、息子の嫁に面倒を見てもらったので財産を残したいと思っても、息子の嫁は法定相続人ではありません。
今回の相続法の改正(2019年7月1日)により、息子の妻は相続人に対して、金銭の請求をすることができるようになりました。
でも、実子である息子がすでに亡くなっていたら、息子の嫁は請求することができるでしょうか。
はなはだ疑問です。
ですから、そういう気持ちを持っているのであれば、遺言書に書いておきましょう。
こういう問題には早くから対処することが必要です。
相続が始まってしまってからでは間に合いません。
親は自分の子に財産を残したいと思っています。
その財産をどういうように残すかを理解してあげましょう。
そのためにも、遺言書を書いて、誰に、何を、どのように 残すかをはっきりさせておくことは重要な行為と言えるでしょう。
遺言書を書く前に、あなたが認知症になってしまったり、交通事故で亡くなってしまうことだって考えられます。
まずは自筆証書遺言で結構ですので、ご自分の意思をはっきりと示しましょう。
あなたは、生命保険に入っていますよね。それは残された方々に対してのあなたの意思ですよね。
それと同じです。
親が書いた遺言書を否定するような子はよっぽどの内容でない限り、まずいないと思います。
ですから、例え法定相続分で分けてもいいと思っていても、その通りの遺言を書けばいいのです。そうすれば、相続争いが起こりにくくなります。
そして、遺言書は何回書いてもいいのです。
最後に書いた遺言書が有効とされるので、気楽な気持ちで書いてみましょう。
もう一つの選択肢
親は子供に財産を残そうとしています。
ですが、それを催促されると、逆に反発してしまいます。何故か。
財産のことですから、しょうがないと思います。
しかし、そこで腹を立てていても、親が認知症になったり脳血管疾患になって、遺言書を書けなくなる可能性も出てきます。
そうすると、別の問題が発生する可能性もあります。
認知症や脳血管疾患で意志判断能力が失われると、ご自分の財産を動かすことが出来なくなる可能性が生じます。定期預金を解約できなかったり、不動産の売買ができなくなったり。
そうなると遺言を書く、書かないの問題ではなく、ご自分の病院への支払いや施設への入所費が払えなくなって、逆にご自分の子にそれを払ってもらうことになります。
遺言書は亡くなった後に効力を発揮するものですが、本人が生きているうちは効力を発揮しません。
本人が生きているうちに効力を発揮するのは、「家族信託」です。
「家族信託」については「家族信託」を参考にしてください。
「家族信託」については項目を分けさせていただきます。
遺言があっても、遺言の内容通りになるかといえば、実はそうでもありません。
先ほど書いた、遺留分がそうですし、相続人全員の合意があれば、そちらが(遺産分割協議書)優先されます。
つまり、
(1)遺言と異なる遺産分割
遺言とは、被相続人が亡くなる前の最後の意思表示であり、相続人はこれに束縛されることになります。
けれども、相続人全員が遺言の内容に反対する場合は、これに束縛される必要はなくなり、相続人の間で協議を行い、相続人全員が納得のいく遺産分割を行うことができます。
(2)遺言執行者との関係
しかしながら、遺言書で遺言執行者が選任されている場合は問題があります。遺言執行者が選任された場合は、遺言者執行者は相続財産についての管理処分権を有するとともに、遺言内容を実現する義務が生じます(民法1012条1項)。つまり、遺言執行者は遺言の内容が、しっかりと反映されるように行動する責任があります。そして、相続人が遺言執行者の遺言執行を妨げることはできません(民法1013条)。理論の上では、相続人全員の合意があったとしても、遺言書とことなる遺産分割はできないようにも思います。
と言いましても、このような結論は誰も望むものはなく、理論上の整合性については議論があるものの、結論としては遺言執行者の了承を得た上で遺言と異なる遺産分割をすることは許されると解する見解が有力です。
遺言執行者もわざわざ相続人全員が反対しているようなことをする可能性は低いです。しかし、これは遺言の内容が相続人に相続させる内容だった場合に限ります。第三者に遺贈をしていた場合は、その者の同意がない限り、相続人全員が遺産分割を行ってもそれは意味のないものとなります。
1.相続に関する事項
①相続分の指定、相続分の指定の第三者への委託(民法902条)
②遺産分割方法の指定、遺産分割方法の指定の第三者への委託(民法908条)
③遺産分割の禁止(民法908条)
④相続人の廃除及び廃除の取消し(民法893条、894条2項)
2.相続以外の財産の処分
①遺贈(民法964条等)
②一般財団法人設立のための寄付行為(一般財団法人及び一般財団法人に関す
る法律152条2項)
③信託設定(信託法2条、3条2号)
④生命保険の死亡保険金の受取人の指定、変更(保険法44条、73条)
3.身分に関する事項
①遺言認知(民法781条2項)
②未成年後見人の指定(民法839条1項、848条)
③財産管理のみの未成年後見人の指定(民法839条2項)
4.解釈上遺言でなしえるとされている事項
①特別受益の持戻しの免除(民法903条3項)
②無償譲渡財産を親権者に管理させない意思表示と管理者の指定
③祭祀の承継者の指定(民法897条1項)
さて、遺言を書いたら全て自分の思い通り分けることが出来るのでしょうか。
残念ながら、兄弟姉妹以外の相続人には遺留分というものがあり、法定相続分の1/2(法定相続人が尊属だけの場合は1/3)を請求することが出来ます。
また、離婚を経験された方が気を付けなければならないのは、別れた配偶者との間に生まれた子供にも相続権があるということを。
数々のルールや問題点がありますので、ご相談ください。
市町村名:(千葉県全域)千葉市,銚子市,市川市,船橋市,小室町,館山市,木更津市,松戸市,野田市,茂原市,成田市,佐倉市,東金市,旭市,習志野市,柏市,勝浦市,市原市,流山市,八千代市,我孫子市,鴨川市,鎌ケ谷市,君津市,富津市,浦安市,四街道市,袖ケ浦市,八街市,印西市,白井市,富里市,南房総市,匝瑳市,香取市,山武市,いすみ市,大網白里市,酒々井町,栄町,神崎町,多古町,東庄町,九十九里町,芝山町,横芝光町,一宮町,睦沢町,長生村,白子町,長柄町,長南町,大多喜町,御宿町,鋸南町
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